日雇いバイト

 

 なんとなく暇だったので日雇いの仕事をした、一度体験してみたかったのだ。
 お酒を卸すための仕分けをする仕事で、全く知らないお酒がジャンジャカと出てきてさすが東京である。割と面白かった。おそらく日本で一番お酒がある場所にいたんじゃないか。
 ただ人が独特だった。20代なんてほとんどいなくて35~60ぐらいまでの男性ばかり、そして、なんというか、みんな瞳が幼い。顔つきはむしろ老けているのに、大人になりきれていない、その日暮らしのケ・セラ・セラ、背負うもののなさが如実に表れていた。
 僕は正直恐ろしかった。60のじいさんがあんな顔で笑うのかと。ホラー映画の不気味な笑顔、不気味の谷の人形みたいで。僕もああいう風な笑顔をしているときがあるのかもしれない。イノセントを内に秘めることと稚気は全く別物なのだと、ようやく気がつく。

製氷機の音などが聞こえるときは

 他人の家に泊まって、寝静まり製氷機の音などが聞こえるときなどは、僕はまだ産まれてないんじゃないかなんて気持ちになったりする。小難しい魂やら、精神よりの逸脱に成功して。

 緊張して眠れもしないくせに、なぜか一段と幸福がそばにやってくる。私が存在してはいけない部屋のなかで、部屋は私を隠してくれる。 

 

11月も終わりに近づき、寒さが厳しくなってきました。僕はホントにダメダメで、日々は気ままに過ぎるばかりです。 

あと文フリ、23日なのでできればよろしくお願いします。