彼は〇〇年前にこれを書いた。

 

ハーランエリスンを読んだ。

誰だよ、と思った人も表題作を言えば伝わると思う。『世界の中心で愛を叫んだ獣』(THE BEAST THAT SHOUTED LOVE AT THE HERAT OF THE WORLD)の作者である。

 

馬鹿みたいに抽象的な文章で正直退屈だった。意味はわかる。けどSFを読み慣れていない僕にとっては苦痛に近い抽象的表現が続いた。一つのテクストを違う言葉や概念で抽出して新しく作り上げる方法はSFの良さみなので、こればっかりは僕が不勉強なのが悪い。あと原文で読まなかったのが悪い。どうしても文のテンポが固すぎる気がした。

 

掲示板なんかでは「彼は難解だけど40年前にこれを書いたのが凄いんだよね」といったコメントが散見された。新しいことを古い時代にしたから凄い、という意外に訳のわからない論法(コメント)は、文学においては自己優越の塊だと思う。作品に対しての愛がねじ曲がっている。愛があるなら、キチンと絶対的な評価を(少なくとも部分的には)したほうが格好いいし、仮に好きな理由が「〇〇年前にこれを書いたから」だとしたら、僕は坂本龍馬でも好きになったら?と言いたくなる。

 

正直タイミングの問題もある、多分中学生のときに読んだら一生の本だったかも。

終わり、僕は元気です。