生存

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 PDFをうんたらかんたらしてみたが、微妙だった。仕方ないので全文を載っけます。

久しぶりに原稿用紙で小説を書いている。といってもこれが公開されるのはブログだろうから、僕はこれからこれをPCで清書することになるのだろうけれど。
紙媒体で物を書きたい、少なくとも一校目は紙を使って文字を出力したい、とずっと思っていた(pcを前にするとブラウジングが止まらなくなってしまうという理由も大いにある)。 文字を打つのではなく、刻んでいく感覚は久しく、楽しいものだ。
原稿用紙を買うのが手間だった、売っていないのだ。百円均一にも近くのスーパーにもなく、歩いて二十分ほどかかる文具店まで買いに出た。もしかすると、小学生の読書感想文なんかは、タイピングだったりするのかしらん。
朝の心が伽藍としていて、小雨が降っていてたのが凶兆だった。服を着替え、エリーゴールディングのラヴミーライクユードゥーを、エンドレスで流し、耳心地のよさにしながれかかる。毒にも薬にもならない簡単な音楽に、甘えていたかった。
消費が目的とされた音楽に、その足早で巨大な流れの中に身を置くと、自分も前進しているような気がしてくる。グラグラと不安定なまま進むことを許されて、過ごせるように思われる。
夜、ランニングをしていると、椎名林檎が歌舞伎町の女王を歌い出して、僕に高校の頃に好き合っていた女の子をゆっくりと想起させた。僕たちはカラオケによく二人で行き、彼女は椎名林檎をよく歌った。やはり黒い髪のショートカットだった。
その頃のことを思い出す。彼女は、東京になんて一度も行ったことがないのに、椎名林檎を好いた。よく整備されてスタンプラリーなんかが開催される歌舞伎町も、本当にクソみたいな池袋も、整形した女しかいない銀座も知らないまま僕たちは曲を歌っていたのだ。けれど、彼女の歌や立ち姿やその精神性は、なかなか様になっていた。そして曲たちは、僕が東京を知ったいまでも、変わらないアニマを持っている。 2020/10/01