映画クレヨンしんちゃん全部評価 感想雑記あり




一月初旬、突如とんでもないメンタルの乱れが僕を襲い、ベッドから三日ほど動けなくなってしまった。理由はわからない。憂鬱はずっと僕を離れてくれないので、バカバカしく絶対に不幸にならないものに触れていたかった。

そんなときアマゾンプライムビデオのクレヨンしんちゃんの映画が目につく。間違いなく今探し求めていたものだった。
ということでアマプラにはいっていたものは全て観たよ。評価と感想を書いていきます。


 

 

1作目。ひまわりもいない平和なクレヨンしんちゃん。まあ普通くらいの面白さ。しんちゃんとしてはほとんど完成されており、鋳型として最高の出来だと感じた。初期特有の資本主義に染まりきっていないテンポ感とノスタルジーを感じたいのならばこれ。色彩が抜群に良いのもポイント。

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夕方に影を作るしんちゃんとアクション仮面

 

 

 二作目。そっくりの王子様と間違われたしんちゃんが王国のいざこざに巻き込まれる導入はドラえもんや後述するスパイ大作戦にも使われる。「しんちゃん」という存在とマクガフィンの相性が抜群に悪いため、完全な巻き込まれ型の展開をすることがおおいがここがしんちゃんの面白いところなのだ。ショートカット娘がかわいい。

 

このあたりから映画らしくなってきますね。初期の書き込みの丁寧さを残しながらもアクションや玉の伏線など映画らしく活気が出てきます。デザインのハイカラさ、二転三転する過去と未来と気合いを入れて作ったことがわかる作品です。 

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色彩と構図が抜群によい戦闘シーン

 

 

 客観的に名作だなあと思ったのはこれ。しんちゃんが世界を救うという使命を等身大の子どもとして悩んでいる部分、敵の単純なおどろおどろしさ、モチーフ、完成された世界観、どれをとってももう一度見たくなる。すごい。トッペママペットがお姫様になる伏線も簡単だけどちょうどよくてかなり好き。みさえとひろしの操り人形とス・ノーマンはマジで怖い。

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キスを受けるしんちゃん




雲黒斎とかタマタマとか脳みそがばかになってきたけれどなんとか書いてる。ひまわりが登場して、しんちゃんも妹に悩む長男になり、ちょうどよいバランスでストーリーが進む。しんちゃんのなにがすごいって、一つもくどくないこと。キャラクターがしっかりしてるのでわりとすんなりストーリーが進んでもあまり不具合がない。そこがすごいと思う。

 

 

春日部防衛隊がはじめての映画らしい。のちの紋型になる映画の一つである功績が大きい。
映画そのものとしては普通によい出来くらいだけど筋肉とお色気とかいうバカバカしいネーミングがかなり好き。”ぶるぶりざえもんの冒険“という劇中劇は傑作。僕はテラゾーの影響でぶりぶりざえもんが好きなので、この映画も好みです。

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ここの色彩と雰囲気が神なのだ




あまりおもしろくない。中終盤のカーチェイスや巨大ロボットは絵として見どころはなくはないのだが、目新しさがない印象。理由として、「温泉というテーマがしんちゃんにとっては中途半端に現実だった」からだとおもう。しんちゃんは現実を非現実に、非現実を現実にする拡大縮小能力は高いのだけれど、半端な距離をうまくまとめる現実的なキャラがすくない。あと前作と今作は時代柄エヴァの影響をしこたま受けているつまらなさがある気がする。

 

 

嵐を呼ぶシリーズ一作目。これ以降ほとんどの作品には‘嵐を呼ぶ’がタイトルに入る。
作風に変化が見られ、しんちゃんを活躍させ観客を高揚させる、ハリウッドスタイルが取り入れている。ヒロイン役がいないのがすこし男くささとジャングル感があって僕は好きだ。
あと個人的に英語タイトルが面白い。Crayon shin-chan Jungle That invites Storm よくないですか?

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ジャングルの雰囲気を出すのも抜群にうまい



 

誰でも名作と呼ぶであろうやつ。イエスタデイワンスモアとかいうエモすぎるネーミング、日本全体の昭和信仰をよくマッチさせて作る物語全体の斜陽感、しんちゃんというキャラクターを掘り下げた善悪のない決着。もちろんぼくは初見だったのだけれど噂は予々聞いていた。
キャラクターには基本なにをさせても大丈夫だということがよくわかる作品。近頃の日本の創作にはキャラクターを大事にしすぎる風潮が強くて、そんなのいらないんだなあと再確認した。
晴天→夕暮れ→晴天→夕暮れ→晴天→夕暮れと物語が進むのも印象的で、特に塔のラストで二人が心中を測ろうとするシーンは晴天であり、そこらへんもうまく作られているなあと感じます。

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有名すぎるシーン wikiにはもっと詳しく載ってるよ




 

映画の作りにかなり気合が入っており、合戦のシーンはたんなる映画のワンシーンのものではないのが見て取れた。しっかり人が死ぬのはこれが初めて?たぶん。そんなに面白いかな〜?と思うところも正直ある。

 

 

僕が割と好きだったのがこれ。終始よくわからなさがあり後半は加速する。人が一度は考えるであろう「家に帰ったら〜〜しよ〜〜」の最大延長線上にある作品で、僕はこういうよくわからない動機動機付けともとれない微妙なあるあるが好きだ。

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熱海に対する情熱がすごい




 

これも好き。 映画のなかのしんちゃんたちが映画の中に飲み込まれるという入れ子構造になっているお話なんですが、最後の映画館とひろしのショットが美しいですね。よく映画でこれを書けるなあと感心します。椿ちゃんがとても可愛いのでちょうどいいタイミングで観た人には心に一生残る作品なのではないでしょうか。

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映画館を去る




 

こっからはまじで不作が続く(好きな人がいたらごめん)。なぜこんなに急にクオリティが落ちたのはわからないけれど特にいうことがなさすぎる…。

 


 同じく。

 

 安直すぎるシナリオなのだけど、、どうなのだろう、少なくとも観てよかった〜とはなりません。ここまでくるとしんちゃん映画にもさすがに食傷気味になり、意地でも観てやるという感覚しか起こらなかった。



 

めちゃめちゃに評価が低いのもこの辺り、しんちゃん映画氷河期といったところでしょうか、 とにかく内容が薄く敵も敵にいまいち恐ろしさが感じられないので僕としては別のものをオススメしたい所存です。


 

クソ映画すぎて笑顔になる…というレビューが一番初めに来る。クソの中ではまだマシな方なので、クソなしんちゃん映画観てえ〜という物好きな方はこちらがオススメです。

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ちょっと笑顔になってしまうやつ




 まあ楽しめるタイプのやつ、けどしんちゃんの良さはあんまり出ていないので心内評価☆☆☆で。

 

 きました!!!個人的に一番好きなやつです。中だるみした4作ほどの雰囲気を打開するべくパッケージも目を引く赤一色はとても雰囲気があり、正直これをおすすめするためにこの感想をつけはじめたといっても過言ではありません。レモンちゃんがかわいい、そしてレモンちゃんとしんちゃんの掛け合いがなんとも小気味よい、決して大作ではないのですけど、物語の展開のよさとキャラクターの立ち方がバランスの良い良作だなあと感じます。

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可愛すぎるレモンちゃん

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その2

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その3





 ごめん書いてて気が付いたんだけどこれ観てねえわ、どっかいってた。

 


 栄光の焼肉ロードと同じテンションで癖になります。ストーリーもキャラも半端なのですが、春日部防衛隊のてんやわんや感とちょうどいいばからしい敵とダレにくい4部構成のおかげでなんとなく視聴に耐えうる作品です。焼きそばにたまごを乗っけて食べたくなることでも有名。

 

 

 泣ける名作をあまり作ってなかったしんちゃんが奥の手的に作り出した名作アンド名作です。自我を持ったクローンの話はうまくやれば絶対に名作になるはずだけど、チープにするのも一瞬なのでうまく作ったというほかありません。それは前半にしこたま積み上げたロボとーちゃんと一家の日常をうまく描き切っているからでしょう。

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ここまでやるからラストがいきるのだ



 

 よくわからないけど好きなやつです。転勤という未知の環境で起こるサボテンの暴走とかいう絶対深夜2時にプロット書いただろ誰がOK出した?と思わず言いたくなるようなシナリオですが、わりとしっかりと起承転結が組み上がっており、なにより意思が全く感じられない中立の装置であるサボテン+人間の風味が描かれた悪役を相手にするというバランスがよいアクセントとなっています。

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誰だこのシナリオにOKを出したやつ

 

 

 これもわりと評価が高めです。こうやって書いていて気が付いたのですが、やっぱり可愛いヒロインがいる作品は評価が高くなりがちですね、仕方ない。見返してみると映像として綺麗なところが評価にそのまま影響してしまったようです。中身はそんなにおもしろくないかも。


 

 う〜〜〜〜ん?面白いような微妙なライン。全く楽しめない、というわけではないんだけれど何かあと一押しが足りなかった印象を受けます。たぶんこの作品はテンプレート通りに進みすぎており展開の予想が簡単だったこと、そのわりに視聴者受けするバックグラウンドを作品そのものに持たせられなかったことがあげられると思います。

 

 僕はかなり好きでした、マサオくんがあまりにかわいそうという声も確かにそうなので、そこらへんで評価を下げる人もままいますが、作品全体を通したカンフーの気骨はしんちゃんとカンフーが意外にもしっかりとマッチすることを感じさせます。

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しんちゃん映画は夕暮れの雰囲気が抜群にあうのだ



しんちゃん映画は本当に奥が深く、よく会話の題材に上がるのもよくわかりました。 
やれやれ系主人公であるしんちゃんは自分から物語を形作りませんが、彼には物語を起こさせたくなる魅力があふれています。普通とは少し違う少年が自由に、しかし彼なりに物語を前へ進めていく様は、ときに笑いとすこしの感動を僕に与えてくれました。僕にこんな長いブログを書かせるのは相当な魅力です。みんなも気になったら観ようね。



八月

みなさんこんにちは。お久しぶりです。八月が終わって九月に入るなら、1ヶ月に一度と決めていた更新をする機会に恵まれたということです。

早い夏でした。駅から五分歩くだけでベタつき、それが全然麗しくないタイプの季節感だったので、やはり湿度というのはよくありません。八月の初旬は七十二候によると土潤溽暑(土潤いて溽し暑し)というらしいです。たしかになあと思う反面、コンクリートが熱されている現代と古の漢民族で同じセンスを持てているかは疑問です。

セプテンバーという単語に、季節感を感じないのは僕だけでしょうか。ジューンとか、オクトーバーとか言われると、語感と相まってしっかりと季節の感覚が肌を触りますが、セプテンバーにはあまり効かない化学薬品とか、よくわからないキャラクターのBスキルとかそういう無機質な雰囲気があります。「船を出すなら九月」という中島みゆきの歌にもいまいちピンとこなかった僕です、もともと九月というものと縁がないのかもしれません。そういえば、誕生月が九月の人にもあまり出会ったことがない気がします。乙女座と天秤座ってかっこよくないですか?僕も乙女座のイケメンに生まれたかったですね。

『山の音』を最近読みました。川端の文章に惹かれたことは今までなかったはずなのですが(母が大好きなのでよく首を傾げていました)、この小説は何度も読み返すほどによかったです。何が面白いとかそういうわけではないですが、仕組みのわからないトリックアートを何度も眺めてしまう感覚に似ています。別に読みたいわけではないけれど、この一週間ほど暇があれば手に取ってしまいました。

山の音 (角川文庫)

山の音 (角川文庫)

 

 

自分には人に言っても絶対に馬鹿にされる類の、信じて疑わないことがいくつかあり、それは意外にも自分らしさに拍車をかけているなあと、最近よく思います。別にそれを持っていることは自分らしさとは全く関係ないのですが、はたから一見すると目立つし、言動として自分を動かしたりすることも多いので面白いです。日本語を話しているのが自分らしさではないけれど、自分を紹介するときには絶対に欠かせないパーソナリティである……それに近いかもしれません。