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名文委員会 名文委員会に一つ珍客が現れて、今まで開闢以来世の名文を審査してきた男たちを、ウンウンと唸らせた。なにせこれは、いままでに比べエシカルな問題を多く含んでいるように思えた。名文を持ち寄った男は、こう言った。 ある朝に私が、やや、今日…
N氏が偶然開発したのは、誰でも頭のよくなる薬だった。 小粒で飲みやすいカプセルタイプで、本当に誰でも頭が良くなるんだっていうから、それはもう、一部では大変な騒ぎが起きた。 しかしN氏は慎重で、それを大々的に広告などはしなかった。代わりに都会の…
夜も更けて、静かだろうと外に出た。雨は降っていないけれど、雨の匂いだけした。こういうことを話す人もいなく、淋しくなって、それからまた淋しくなった。町をフラリと行こう。なんとなくそう思った。 僕の予想はおおかた外れて、またこの時も外れた。人が…